2020-04-22

個展のお知らせ


森田春菜 陶展 「円相」

4/19-4/29 
ONLY ONLINE STORE
https://www.instagram.com/tonoto_take/



-展示に添えて-

 

 焼成を重ねていくと
もともとの土や釉薬などの素材が、そのものから抜け出て
新しい物体に化けるときがあります。
それは、“質感とかたちが融合する”感じです。
とても大切にしているところです。
やきものが
わたしの蓄積してきた感覚と
温度や湿度、時間の現象と混ざり合って
どの一部でもない
まったくの別個体になります。
それは
なにかと、ことばだけではいえない
ただ「感じそれ自体」を現すものでいいと思います。 


目で見て、手で触れて
その人だけの感覚の質を体験していただけますように。




-店主紹介-

 

タイトルが禅における書画の一つ「円相」にしているのは単に形状のことだけ指しているのではなく理由があります。
円相の要約した意味は執着から解放されることを表しています。
以前から森田さんはリング状の作品を制作されていて(もともとの土や釉薬などの素材が、そのものから抜け出て新しい物体に化けるときがあります。ことばだけではいえないただ「感じそれ自体」を現すものでいいと思います。)という作者の制作動機の感覚は陶であることからの脱却を試みていて、固定概念に囚われない心を鑑賞者に喚起させる装置のようなものなのではないかと捉えることもできます。
故に、森田さんが作っていたのは円相の意味そのものなのではないかと発想した為です。

* 

インスタを徘徊していて思う、西洋の陶芸家の傾向。

フォルムを作るのに注力していても、そこまでテクスチャーは気にしていないような印象です。
彼らには最終的な発表の場-ホワイトキューブが念頭にあり、そしてそこでは力を発揮できるコントラストが強い作品が求められる。もちろん、だからこそ日本人が発想しにくい作品が沢山あります。
対して、和食でも日本建築でも往々にして語られる日本人の強みは微妙かつ複雑な質感への感度です。また手馴染みを尊ぶ感性。

森田さんの作品はマチエールそのものをとことん追求したミクロな世界観で、正にそんな日本的美意識が凝縮されています。