2015-06-22

象形の時

華雪さんの書は
”書”なのだけれど、それは字を書いているというより
字に辿り着こうとして、線を引き出している、未然の字。
そういうものを見ている気になる。
そして、実際そうなのだと思う。



今現代の既存のものになるまで
今まで、膨大な時間をかけ
いろんな人がその時を過ごし
馴染み、変化し、残っているもの。

自分の陶も、そんな風景を含んだものとして
受け手に伝わるといいな、と思う。
華雪さんの字からのそれは
まるで、肉体的なパフォーマンスを目の前で見ているくらいに
圧倒的で、ひたむきな姿勢が伝わる。

「口」を、題し、幾枚も書かれた作品群。

漢字の研究者、白川静氏の引用を携え
字の風景を模索する
巡り歩いた痕跡。




 口、が入る字は幾つもあるけれど
 考えゆく中で、あ、と気づいたのは
”意味”という熟語、そこにも” 口”字が入るの
という。

何かをすくい上げて口に運ぶような儀式みたいな

そう話す華雪さんが、現代の人でなく
遥かな人のように錯覚する。



表れた字の、奇跡的な水の余韻や墨の粒子。
 和紙の肌理と相まって
立体物を見ているような気分になる。


字の輪郭、際の空間への放たれ様
裏が透ける様な素材感
動きの跡のような、力強く厚みのある墨溜まり。

それは頭の中で土と重なり
観客ではいられない気分になり
私も工房に戻ります、と感動を伝えて足早に帰る。


わたしだったら、と
器にたどり着くまでの人間の気分で削り出す。



「口 器」|華雪+柳原照弘
書:華雪
ガラス:柳原照弘
*ガラス制作:辻野剛(fresco)
 
日時 2015/06/20(土)-7/18(土)
会場 hiromi yoshii roppongi