2014-11-21

今 現在 のこと。 そして人についてを言い続けている、ということ。



手を動かしている時に、考えていた事は
じつは 人間について だったんじゃないか
と、最近思っている。

モノの在り様を探る作業を通して
いままでずっと、思考は、そういうことを探っていたのではないだろうか、と。


実際、”モノ”に惹かれているのは確かだけれど
その奥底には常に”ニンゲン”への興味が潜む。
それはこの仕事をし始めた感覚を得たときから、ずっとあった事だったのに
 モノへ迫っていく感覚の傍を、いつも並走するもの
 くらいな自覚しかしていなかった。





興味を含んでいるものを見つける視点は
懐古的な思いや、情緒性を むしろ引き込みたくない。
傍に来てしまいそうになる気配を
避けつつ、避けつつ、蒐集する。



言いたいのは、今は無くなってしまったもの、ではなく
今、現在のこと。

わたしにとって重要なのは、そこだった。



2014-10-13

a l'etage後期ご案内 +a



(ギャラリーの2階、カフェ併設の空間です)


森田春菜  展

陶立体
個展

10/4 sat - 26 sun
こちらの展示は終了いたしました。



会期中は、竹内よしこさんによる
展示内容のイメージを絡めた焼菓子を販売。

穀物の味わいをしみじみ感じる
風味豊かなおかしでした。
研究熱心な竹内さんオリジナルの力作です。





木工作家・小山剛さんの個展に一部作品を提供しておりました。
(ギャラリーFUUROにて 2014年10月4日(土)-11日(土))
小山剛 展「美の用」

出品協力作家
秋野ちひろ、鎌田奈穂、熊谷幸治、森田春菜、渡辺遼

小山氏談:
美しさで言えば “衣食住”どちらが上とか下とかでは無くてすべては繋がっている。
用の美という言葉も同じで、視点はもっとフラットでいいし
 時には裏側から覗いてみると新しい発見があっておもしろい。
今回はモノの持つマチエールやモノが置かれた 外側に焦点を当ててみました。 
そして、そんな風にモノを作り出している
同世代の友人にも 小さなコラボ作品を作っていただきました。











ぽろりぽろりと、行く当てなく居た小品たちが
心地の良い住処をもらえた様な景色。
今、あらためて画像で眺めていると
どこか母心にも似た
愛でる様なありがたさを覚えます。



凛とした輪郭が際立つ小山君の作品は
静謐な気配を漂わせつつ、力強くもあり。
彼ならではの個性と存在感を放っていました。

真摯に樹に向かう彼の姿が目に浮かぶ様な
意気込みが凝縮した空間。

力作ぞろいの充実の個展のなかで
関わることができた、しつらえ。
どうもありがとうございました。

象徴を巡る旅

今回の名古屋訪問も含め、今年は旅の多い一年になっている。
『旅』と言っても、日帰りの事もあれば、ほんの数泊ほどの
自身の活動を兼ねた”遠征”的なものが中心。
それでも、毎月どこかしら遠方へ、機会をたのしみに足を運んだ。

日常の場を離れた気分の変化は大きい。



行く先々では、どんなにゆったり時を過ごしていても
アタマの片隅には”この時間には終りがやってくる”意識があり
その影響あってか、一緒にいる人との時間の濃度が高まる。


今年、足しげく通った高知は、訪れる度に
そこでの濃密な時間を、全て身に染み込ませておきたいような気分にさせられる。
 日常からはなれた”そこ”で起こることと
自分にとってのことを照らし合わせてみる。
結果、何かしらの問いを投げかける気分を
おみやげに持って帰るのだった。
人間的なことも 取り巻く環境も その他もろもろのことがらも。
旅の余韻が残る中、しばらくはぼんわりと
起こっていたことを思い出しながら 想い続ける。

わたしにとって、そこは、そんな土地になった。




それぞれの訪問地で出会う人と共に、
どうして今のモノづくりに至ったか、はよく話題になり
また、どういう考えで現在制作しているかも
よく聞き、話していた。

その都度、自分の場合、を顧みると
自分には確たるコンセプトが言えないことについて、も
考えていた。


わたしのものづくりは
きっかけになった起点から、前へ進んでいこうと、
目の前に置かれた”飛び石”を頼りに
その都度現れたものに従って点々と進んでいったら
いつの間にか
思い描いた、元の起点から見た景色から逸れていた、
と、いうような成り行きになっている。

実際、”私はこのモノでこういう事が言いたいのです!”
という発信、表現を、ものに託していない。
けれども、カテゴライズしようにも微妙な位置にある
この”ヤキモノ立体”制作は
いまだにこうして展開を続ける。
それが何か、と説明出来る前に。




約十年以上も前にさかのぼる学生時代は
よくこの手の『なぜ作るのか』 問題に対して
まじめに言葉を綴り、模索した。
これは単純に”授業カリキュラム” に習ったから、の取り組みだったけれど
不出来なすべり出しだった分、しつこくやり続けた。
この作業は、今思うとけっこう大事な鍛錬だった。
あの頃掘り下げて得た感覚は
今でも同じような部分が多くある。


今現在ヤキモノでこの制作を続けるようになった理由は
そもそも 、うっかり入れた母校の大学のおかげ。
”陶”を選んだわたしは、
そこで”うつわ”を学ぶものだと思い込んで、進んでいた。

 しかし、そこで待ち受けていた第一声の教えは
  『”ヤキモノ”の既成概念を捨てる事』。
それは
 土というものでなにができるか
自分なりにこの四年間で探しなさい
というのが指導の主旨だった。
その上で、うつわを作りたいのならそれでもいいが
創作において、思い込みの概念から解放されているように、と。

手取り足取り指導するカリキュラムでなかったおかげで
そこからは自力で泳ぐしか方法が無い。

しかし思えば、今現在もこの時の教えを忠実に守ろうとしている
と言って良い気がする。
抗う事も思わないくらい、当時のペラペラの若輩者にとっては圧倒的なものがあり
この教えは、ほとんど刷り込みに近かった。



そんな偶然の派生からとしても
わたしにとっては今もその時点から続く模索が続いているのだから
結局はこの作業が性に合っていたのか、、、
と、腑に落ちる。


『土で何ができるか』。

このイメージは、まず自分が”原始人”のようになって
ひとつひとつをあらためて『発見する』ようにすること。
今居る自分を取り巻く環境と、今の思考と、手元の素材と。
この三つの組み合わせを”誠実”に想像していくこと。
どこかで見た、出来あいのものに引き込まれないように
”わたしが発見する”景色を求める。


制作はこの取り組みの繰り返しなのだけれど
その時の自分の環境や、人との出会いや、そこで見聞きしたこと
さらに、今、手元の土に起こる表れ。
さまざまな要素が多様に入り込む。



よく、ご覧くださった方から聞く言葉は
古い発掘物のよう、だったり
骨や枝のよう、だったり、と。
わたしもそれをとくに否定をせずにいて、
しかし、実際はそうして具象のものを例えにできるのだけれど
それに至る経緯は、できあがった”そのもの”を目指して出来上がった、とは言い難く、

手元を探る
何が起こっているか観察する
そして、見合うかたちに寄せていく。

こうして追って行って、落ち着いたところが
『こうなった』
という”モノ”になる。
この一連の作業に、自分で区切りをつけるのは
かたちと素材のようすが”なんかいい感んじ”がする、という時点。
これが私のことばになっている。



『ひとつのことを言い表したり、目指したものではなく
いろんな物事や現象が幾重にも”ミルフィーユ”の層のように重なっているところが
もりたさんのものなのかなぁ。』

こう言ってくれた方からの言葉を
すこし経った今も、大切に反芻している。

そんな中で、最近知人のK氏が教えてくれた
『ブリコラージュ』
という概念。
それはあらゆる場面で起こる感覚。
名づけられていたことを知り、一層際立つ。


まだまだ難解なこの思考。
でもゆっくりゆっくり手元になぞらえながら
理解したいと思う。


2014-10-07

10.2-12 a l'etage 前期景色



  






竹内よしこさんのお菓子と





森田春菜  展

陶立体
個展


2014 .10/2 thu - 12sun : 1st
10/16 the - 26 sun : 2nd
※13,14,15 close

12 - 18:00 open

現在10/5 & 10/19 在廊を予定しております。



ギャラリー hase -ハーゼ-(愛知 名古屋)
(ギャラリーの2階、カフェ併設の空間です)


会期中は、竹内よしこさんによる
展示内容のイメージを絡めた焼菓子を販売します。
こちらもおたのしみに・・・





2014-09-13

個展のお知らせ


森田春菜  展

陶立体
個展


2014 .10/2 thu - 12sun : 1st
10/16 the - 26 sun : 2nd
※13,14,15 close

12 - 18:00 open

現在10/5 & 10/19 在廊を予定しております。



ギャラリー hase -ハーゼ-(愛知 名古屋)
(ギャラリーの2階、カフェ併設の空間です)


会期中は、竹内よしこさんによる
展示内容のイメージを絡めた焼菓子を販売します。
こちらもおたのしみに・・・




初めての名古屋での展示となります。
今回は、一ヶ月近くの長い開催期間となりますので
気分転換に、、、と、会期中入れ替えを行う事にしました。

今回のDM写真を撮ってくれたのは
hase浅井さんよりご紹介頂いた、写真家の関谷亮子さん
シックなイメージカットをご用意していただきました。


階下のギャラリー、haseではそれぞれ2週間ごとに
鉄作家・田中潤さん木工作家・須田二郎さんの展示となっているようです。

併せてお楽しみ頂ければ、うれしい機会です。

2014-09-09

朋あり 遠方より来る

 


それぞれの展示開催のため、高知から来ていた
南蛮焼作家の廣谷さんと、竹籠作家の大造さん。
前回わたしが高知を訪れた時の続きを繋げるように
今回の東京滞在でも、多くの時間を共にした。

見送って、日常に戻った今週。
一緒にいた時間、印象的だった事の余韻が
ふと現れる。


満月か新月の時は
竹を狩るのに適した時期らしいこと。
そんな話も聞いたのだった。

月の写真は必ず、うまく撮れない。


  



竹籠展の会場となっている、吉祥寺のOUTBOUNDでは
7日(日)に店主・小林さんとのトークショーがあり
程好い人数が集った会場では
和やかに質疑の会話が交わされた。

自然体で柔らかい、分かりやすい語りでありながら
紙一重のような微妙な感覚も、的確に言い表す大造さん。
廣谷さんにもそういうところがあり
ふたりの感覚や云い様に、自分の日々のぼんやりした体感も
納得の着地点を得たりする。



会場では親友である廣谷さんが撮った映像が流れ
よく知り合っているからこそ、の目線のありようは
見ているだけでもなんだかジンとくる景色。
何ループ眺めていても
目を留める度、見入ってしまった。



今回の展示タイトルにもなっている”生きている”のことばの意味。
自然物に対して、自分が変化する動き。
対談の内容は、そんな事柄で
この内容の共通項は、絶対に工芸作家だけでなく
20代の若者や、サラリーマンにだって通じる概念を
含んでいると思うのだけれど。




対象に身を委ね、出来たもの。

「そうなっちゃった」としか言えないんだよね
と、笑いながら云い合う二人の姿。

他のいろんなシーンも
まだあまり日がたっていないのに
既に感動的に心に残っている。




山崎大造 竹籠展
「生きている竹」 9/6 - 15 吉祥寺 OUTBOUND にて

:廣谷さん曰く
「都心で竹林を感じる展示」。

2014-09-02

次回個展のお知らせ

森田春菜 

陶立体
個展


2014 .10/2 thu- 26 sun
※13,14,15 close

ギャラリー hase -ハーゼ- (愛知 名古屋)
(ギャラリーの2階、カフェ併設の空間です)





8月31日まで伊豆長岡・noir/NOKTAで開催されておりました
グループ展 「あの森をぬけて家へ帰る」は
終了いたしました。

夏休みを利用してお越し下さった方もいらっしゃったと聞き
今回の展示の雰囲気
そして、もともとあるあの場を体感して下さったことを思うと
嬉しいです。

訪れていただいた方
どうもありがとうございました。




今までひとり、じっくり電車に揺られ進んできた道行が
にぎやかな道中、滞在になり。
今までお世話になってきた場には、さまざまな人が集っていた。

夏の暑い時間の中で
そんな空間に居ることを
じっと感じていたくなるひととき。

そんな機会でした。

2014-08-18

「あの森をぬけて家にかえる」




「あの森をぬけて家にかえる」

2014. 8 / 16 sat  - 31 sun
ギャラリー noir/NOKTA (伊豆長岡)
http://www.renrens.jp/gallery/index.html


始まりました。
初日は作家も集い、夏休みを満喫して返って来たような気分。

帰って来て、余韻を想う。


どうぞよろしくお願いいたします。



さまざまなアクセサリー類。
つい、と拾い上げて眺める様は楽しい。


noirの空間。
浮遊する 金属作家:秋野ちひろさん作品

NOKTA。
大判の和紙が、昼と夜を作るよう。
和紙作家:森田千晶さん。


搬入と初日を利用したような
伊豆・三島の旅を楽しんだようなこの期間。

noirから始まったこの場が
じわりじわりとふくらみ、人が集まる場所になり。
展示初日は、よく知る作家がこうして集っている中に居ることが
うれしいひとときでした。

皆それぞれに、見合う場を見つけ
10人の作家が集まったとは思えないくらい
のびのび作品が展開しています。


<参加作家>
秋野ちひろ/クロヌマタカトシ/新谷仁美
鈴木仁子/藤代裕/BeBe/森田千晶
横内みえ/わたなべいくこ/ 森田春菜

2014-07-26

高知探訪 土まわりのこと



先日の連休、南蛮焼き作家である 廣谷さんを訪ねて
高知に出かけていました。






穴窯で薪を使っての焼成は約三日間。
私が一緒に居たのはその最後の3、4時間ほど。


それまでの前準備としても、およそ4トンの薪を割る作業があり
そして、焼成は寝ずの番。

もちろん、土の仕込みとうつわの制作もあるので
この仕事は圧倒的なボリューム。



薪をくべれば、とたんにわぁっと、火が膨らみ
周辺は始終高温と煙に包まれて
この中で、居る、ことだけでも、なかなかなエネルギー。



今回は、竹籠作家の大造さんも作業を共にしていた。

ふたりが話す、火についてのやりとり。

なんともやわらかな言葉で様子を言い表わすのが
日頃”ナマの火”に縁遠い私は、それがひとつひとつとても響く。

それだけ、身近にできるものである、という表れ。



土煙と煤のなかで、汗にもまみれていく体感。
今こうして東京に帰ってきて思うと
なんだかあの在り様に惹かれてしまう。




地面の上にいる、という感覚。
生き物的人間の感覚。

わたしの普段の生活で
退化しそうな部分が、存在を現す。


今の自分まで繋げてくれた、今までの人たちが知ってるものなのか。
それがすこしでも、私の中に宿るものなのか。

あぁ、こうだったな、と
想像のどこかの景色がつながる気分。
ほんとうに、想像に過ぎないのだけれど。




この景色を、手に宿すようなふたり。
一緒に居るだけでも充足感が湧くかのような
滞在3日間。



廣谷さんも、大造さんも
来月8月30日から、それぞれ都内で展示があります。


今度出会えるのは、東京で。待ち遠しい。

2014-07-23

8月グループ展のお知らせ




「あの森をぬけて家にかえる」

2014. 8 / 16 sat  - 31 sun
ギャラリー noir/NOKTA (伊豆長岡)
http://www.renrens.jp/gallery/index.html


10名の作家によるグループ展に参加致します。


<参加作家>
秋野ちひろ/クロヌマタカトシ/新谷仁美
鈴木仁子/藤代裕/BeBe/森田千晶
横内みえ/わたなべいくこ/ 森田春菜



現在、森田は初日の在廊を予定しております。












2014-07-04

最後の滞在

いよいよ、一連の展示の最終日を迎えます。
伊豆の機会も東京での景色も、場に赴いてくださった方々
また、興味を持って接して下さった方々
ありがたいです。

この最後の週末は、あいにくの空模様でもあるそうなので(!)
しっとりと、場を記憶にとどめつつ
ゆっくり過ごしてこようかと思うのです。



お会いする方々、いらっしゃるのでありましたら
どうぞよろしくお願いします。






新谷仁美  /  森田春菜

 平面 / 陶立体

2014 .6.21  - 7.6
11:00 - 17:00 OPEN

(静岡 伊豆長岡)





2014-06-27

伊豆の展示が始まりました。




先週末から始まった、ふたり展 ”際”。
後半の巡回先である、伊豆長岡のギャラリーnoir/NOKTA。



グループ展も含めると、何度もお世話になっている場所なのですが
今回、少し久しぶりの機会でもあります。
それを実感するのも、nori、NOKTA、に続き
新たに併設されたショップスペースにの設定は初めて、であること。

じわりじわり、と、ご自身の作っていきたい空間を実現されていく平井さん。
多くを語らない方なだけに
その奥に持っている想像の大きさを想うのです。

新たに出来た空間を、NOKTAから臨む。

NOKTAの中には、平井さんならでは、の
小さな小屋が。ここはその中。
こんな小部屋、いいな、と訪れるたびいつも思う。

銀彩の陶片。
小屋の窓際に、そっと。





新谷さんの平面作品、ひらりとある、軽やかな印象のなかにも
奥行きのある存在感を感じさせる。

今回のことで、今までにも増して
とても心寄せるものとして感じるようになった。


この空間の設定、平井さんはどうして思い描いたのだろう、、、と
不思議な思いです。
場を作るって、すごい。

NOKTA二階の窓辺。



いろんな風景を見せてくれるNOKTAの場は
自然体且つ、独自の雰囲気も持つ。
穏やかでやわらか でもあり
ざっくりどっしり、力強いところも感じる。

以前は木材置き場として活躍した
この建物の風格が息づく。



渡り廊下。



いちばん初めにここの場にお世話になったのはいつだったかしら、
と思って見たら、もう6年も前のことだった。



白を基調としたこのnoirの空間。
ここでやらせてもらうことも、久しぶりだけれど
繋がるのは、初めてやらせて頂いたときの風景。

いろんなことを試した場。と、わたし。





 



ぽつりぽつりと、言葉と写真を綴ってもらっています。

写真からも感じられる
また自分と違う目線が、うれしく 新鮮。






新谷仁美  /  森田春菜

 平面 / 陶立体

2014 .6.21  - 7.6
11:00 - 17:00 OPEN
※木曜休み

(静岡 伊豆長岡)